2025/08/08
最近、テレビやインターネットなどのメディアで「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」に関する報道を目にして、不安を感じたことはありませんか?
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、マダニを介して人だけでなく、犬や猫にも感染する可能性のあるウイルス性の病気です。厚生労働省の発表によると、毎年一定数の患者が全国で報告されており、重症化や死亡例も確認されています。
犬や猫を通じて人にうつるケースもあるため、飼い主様にとっても身近で注意すべき感染症のひとつです。大切なご家族と犬や猫を守るためにも、正しい知識と予防が大切です。
今回は犬や猫のSFTSについて、基本的な情報や症状、当院が行っている感染対策などをご消化します。
■目次
1.マダニとは?|犬や猫のすぐそばにいる“身近な寄生虫”
2.SFTSとは?|人にも感染するウイルスと、犬猫が関わるリスク
3.犬や猫に見られるマダニ・SFTSの症状と注意点
4.森田動物医療センターでできるマダニ・SFTS対策
5.日常生活でできるマダニ対策|外でも家でも油断しない
6.まとめ|マダニ・SFTSの正しい知識と予防で、家族みんなの安心を
マダニとは?|犬や猫のすぐそばにいる“身近な寄生虫”
マダニは春から秋にかけて活動が活発になる寄生虫で、公園の散歩道や庭先、さらにはベランダの植物にも潜んでいます。一見自然に囲まれていない生活環境でも、マダニは犬や猫の被毛にくっついて室内に侵入することがあります。
マダニは犬や猫の皮膚に咬みついて吸血を行い、その際に皮膚炎を引き起こすだけでなく、さまざまな感染症を媒介します。代表的なものには「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」や「バベシア症」があります。どちらも放置すると重症化する恐れがある病気です。
特に完全室内飼育の猫であっても、飼い主様の衣類や来客の持ち込みによってマダニが室内へ入り込むケースもあるため、決して油断はできません。
SFTSとは?|人にも感染するウイルスと、犬猫が関わるリスク
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)はマダニが媒介するウイルスによって引き起こされる感染症です。人が感染すると高熱や消化器症状、出血傾向、意識障害などを引き起こすことがあり、最悪の場合は死に至るケースも報告されています。致死率は10〜30%とされ、非常に注意が必要な病気です。
犬や猫がこのウイルスを保有していたとしても、必ずしも症状が現れるわけではありません。無症状のまま飼い主様に接触することで、ウイルスが間接的に人へ感染するリスクもあります。
特に免疫力の弱い高齢者や小さなお子様がいるご家庭では、犬や猫がSFTSウイルスをうつすきっかけにならないよう、あらかじめ予防をしておくことがとても大切です。
犬や猫に見られるマダニ・SFTSの症状と注意点
マダニや、それを介して感染するSFTSを発症した場合、短期間で急激に症状が悪化することがあります。ただし、初期の兆候は見逃されやすく、以下のような症状が見られたら注意が必要です。
・皮膚の痒みや赤み、腫れなどの炎症
・脱毛
・貧血
・発熱
・食欲の低下
・活動性の低下
・下痢
・嘔吐
・黄疸(目の白目や口の中の粘膜が黄色くなる)
これらのサインが見られた場合には、体調の悪化が進んでいることもあります。「少し様子がおかしいかも」と感じた段階で、早めに動物病院を受診することで重症化を防ぐことができます。
森田動物医療センターでできるマダニ・SFTS対策
マダニやSFTSの予防には、犬や猫それぞれに合った適切な予防薬の使用が効果的です。当院では、皮膚に直接塗布する「スポットタイプ」や、経口投与する「チュアブルタイプ」の予防薬を取り扱っており、ライフスタイルや性格に応じた処方が可能です。
また、ノミ・マダニ・フィラリアを一度に予防できる薬もあり、忙しい飼い主様でも継続しやすい予防プランをご提案しております。
なお、すでにマダニに咬まれている場合には、来院前に予防薬の使用が必要なこともあります。急な受診をご希望の場合も、まずはお電話にてご相談いただくことで、よりスムーズな対応が可能です。犬や猫の体調や生活環境に配慮しながら、無理のない予防スケジュールを一緒に立てていきましょう。
日常生活でできるマダニ対策|外でも家でも油断しない
マダニのリスクを減らすためには、予防薬の使用とあわせて、日常生活の中で以下のような対策を行うことが大切です。
◆犬の散歩後にはブラッシングとマダニチェックを行う
帰宅後のケアとして、毛の中にマダニが潜んでいないかを確認しましょう。
◆草むらや雑草の多い場所は避けるようにする
マダニはこうした環境に潜んでおり、接触のリスクが高くなります。
◆飼い主様ご自身も服装に注意する
長袖・長ズボンの着用や虫よけスプレーの使用で、自身への感染を防ぎましょう。
◆完全室内飼いでも対策を怠らない
ベランダや玄関の開閉時、飼い主様の衣類などからマダニが侵入する可能性があります。
◆室内の清掃や犬や猫が使う寝具の洗濯を定期的に行う
マダニは布製品に付着することがあるため、常に清潔に保つことが大切です。
まとめ|マダニ・SFTSの正しい知識と予防で、家族みんなの安心を
SFTSは命に関わる感染症ではありますが、適切な知識と予防策を講じることで、そのリスクは大きく軽減できます。大切なのは、過度に恐れるのではなく、冷静に正しく備えることです。
当院では、飼い主様の不安に寄り添いながら、愛犬や愛猫に最適な予防計画をご提案しております。「ニュースで見たけれど、実際どうしたらいいの?」「うちの犬や猫も心配…」といったお悩みがある場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
当院では、安心して受診いただけるよう、感染症の最新情報をふまえた対応を徹底しております。定期的な予防を通じて、家族全員が健康に過ごせるよう、一緒に取り組んでまいりましょう。
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埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・越谷市を中心に診療を行う
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