症例紹介

症例のご紹介

緑内障の1例

8才齢 ミニチュア・ピンシャー

昨日より突然右眼の白濁を認めたため来院されました。
検査にて右眼眼圧は43mmHgでした。
また強膜と結膜に重度の充血を認め、眼の痛みもありました。

初診時の画像

治療開始から5日目の右眼眼圧は、22mmHgまで降下しました。
また角膜の白濁は消失と強膜・結膜の充血も改善しました。
眼の痛みもありません。
治療開始5日目の画像

その後も右眼眼圧は16mmHg~20mmHgを維持しています。

緑内障(牛眼)の1例

13才齢 MIX犬

他院にて1年以上前から緑内障の治療をしていましたが、両眼とも緑内障からの牛眼になってしまいました。
そのため当院を受診されました。
当院受診の2カ月前の眼圧は、両眼とも50~60mmHgでした。
当院受診時の眼圧は、右眼55mmHg 左眼66mmHgでした。
両眼とも視覚はありませんでした。
強い痛みを認めました。
当院にて治療は、点眼による眼圧コントロールではなく毛様体破壊術を実施しました。

初診時の画像

毛様体破壊術実施後40日目の画像
眼圧は、右眼24mmHg 左眼30mmHgでした。
眼の痛みはありません。

毛様体破壊術実施後70日目の画像
眼圧は、右眼17mmHg 左眼11mmHgとなり眼圧がコントロールできました。

マイボーム腺炎の1例(マイボーム腺機能障害)

8才齢 MIX犬

2週間前より瞼の腫れを認めたため来院しました。

初診時の画像

処置7日目にてまだ瞼が腫れていますが、赤さは改善しました。
処置7日目の画像

処置14日目、瞼の腫れと赤さがなくなり完治しています。
処置14日目の画像

増殖性好酸球性角膜炎

猫  MIX  6才  避妊雌

1か月以上前より、右眼角膜が隆起しはじめ、かかりつけ医で治療を受けていましたが
どんどん悪化していくので当院へ来院しました。

当院初診時の正面からの画像です。

横からみた画像です
診察、検査の結果、増殖性好酸球性角膜炎と診断しました。

画像は角膜のスメアで、好酸球を確認しました。

治療は猫ヘルペスウイルス(FHV-1)感染症の治療、内科と点眼を行いました。

次の画像からは治療経過をおいます。

治療7日目の状態。

治療21日目

治療28日目

治療35日目です。角膜の肉芽組織は消失し、
角膜が正常な状態に戻りつつあります。

現在は眼治療のみで経過観察しています。非常に良好です。

森田動物医療センター 眼科病院

眼が異常に大きくなっている症例

症例1

M.ダックス/10才女の子
3ヶ月前より、左眼球の充血があり、病院で治療を受けていたが良くならず。
だんだん、眼球が大きくなり、角膜の透明度がなく赤白くなってきたので来院されました。

網膜剥離

初診時、角膜は赤白くなり、疼痛はなく、牛眼になっていました。
尚、眼球全体に出血があり、網膜剥離になっていました。

毛様体破壊術1ヶ月後

毛様体破壊術(冷凍手術)1ヶ月後の画像です。
眼球の出血はなくなり、牛眼が小さくなりました。尚、角膜の透明度は眼球出血による角膜内皮障害のため元に戻りませんでした。
出血後時間がたちすぎたのが原因です。現在は経過良好です。

症例2

パピヨン/12才男の子
4ヶ月前に左眼緑内障と診断され病院で治療を受けていましたが、
眼球が大きくなり、角膜潰瘍も重度になってきたので来院されました。

腺癌

初診時の画像、牛眼になり角膜潰瘍もかなり重度でした。
超音波検査で眼球の構造は正常でしたが、眼球後方に高エコー(白い)の部位が認められました。飼い主さまとの相談で眼球摘出を選択、病理検査を行いました。検査の結果は腺癌(眼窩内の外分泌腺あるいは副鼻腔粘膜上皮由来の悪性腫瘍性病変)でした。

術後7ヶ月後

術後7ヶ月後のもので、再発は見られず、経過観察中です。

症例3

シーズー/4才男の子
1ヶ月前より、病院で右眼結膜炎、緑内障、牛眼とのことで治療を受けていましたが、悪化するだけで一向に良くならず。
さらに元気、食欲がほとんどなくなり来院されました。

初診時の右眼

初診時の右眼の画像、牛眼状態、角膜は潰瘍、眼球内は確認できません。

網膜剥離、眼球出血

左眼、牛眼状態、前房は真っ赤で眼球内は確認できません。
左右両眼とも超音波検査で網膜剥離、眼球出血が見られます。
血液検査の結果、内科疾患が疑われましたので、眼科の外科治療を止め、内科治療を選択しました。

治療3ヶ月後

治療3ヶ月後のものです。眼球は正常の大きさになり、初診時と違い元気になりました。尚、両眼とも網膜剥離のため、視力は失われました。

症例4

トイプードル/13才女の子
4ヶ月前より右眼が大きくなり、点眼治療を受けていたが、悪化していくので来院されました。

重度の乾性角膜炎

来院時、左眼は白内障、右眼の牛眼は重度で、重度の乾性角膜炎。
超音波検査で右眼球、白内障以外構造異常なし、左右眼球径の深さはほぼ同じ、横軸は5mm程度右眼球の方が大きく後方圧迫あり。眼球後方に高エコー部があり、眼球後部腫瘍の疑いがあり、右眼球全摘出手術を行う。病理検査で視神経髄膜由来の髄膜腫と診断された。

手術前

手術前。

摘出眼球と付属物

摘出眼球と付属物。

現在、4ヶ月が経過していますが、再発は見られていません。
髄膜腫は良性の腫瘍病変ですが、腫瘍境界は不規則・不明瞭で、局所再発の可能性がある腫瘍です。

症例5

Mix/9才男の子
1ヶ月前より両眼緑内障を発症、点眼治療を受けていたが良くならず、両眼とも牛眼になる。
担当医が両眼眼球摘出を勧めるため、他に方法がないかということで来院されました。
初診時、左右眼圧50~60mmHg、角膜浮腫、ぶどう膜炎合併、牛眼。
当院では眼球摘出、義眼、毛様体破壊術(冷凍手術)の3つを提案。飼い主さまとの相談で毛様体破壊術を選択しました。

左:術前の画像、右:冷凍手術の画像

左:術前の画像、流涙、痛みあり。右:冷凍手術の画像。

手術20日後

手術20日目の画像、角膜をこすったため両眼とも白濁しています。

手術50日後

手術50日後の画像、眼圧も低下し、眼球が小さくなっています。痛みはありません。ただ、角膜の白濁は残りました。現在は角膜の白濁はほとんどなくなりました。

眼が大きくなっている症例の一部を集めて紹介しました。
原因としては緑内障、網膜剥離による眼球出血、眼球後部の腫瘍、眼球内の腫瘍、眼球炎などがあります。
眼が大きいだけで緑内障の牛眼を疑いがちですが、他にもいろいろな病気で起こりますので注意が必要です。(院長)

眼瞼炎、マイボーム腺機能不全の2症例

症例1

10歳のポメラニアン/体重4.5kg男の子
2ヶ月前より両眼瞼腫脹、流涙・眼脂が多くなる。
かかりつけの動物病院で2ヶ月治療を受けていたが改善しないので来院されました。

初診時の右眼

初診時の右眼

初診時の左眼

初診時の左眼

両眼とも上眼瞼、下眼瞼がかなり腫脹しています。

左眼

左眼

右眼

右眼

内科治療、投薬、点眼治療40日目です。

治療60日目

治療60日目です。
両眼とも腫脹はかなり取れ、流涙、眼脂も少なくなりました。
飼い主さまも満足しています。尚、自宅で薬剤を使用しない予防処置を継続しております。

症例2

7ヶ月令のチワワ/体重2.3kg男の子
7日前より眼瞼炎が両眼に発症、かかりつけの動物病院で治療していたが、悪化速度が速いので来院されました。

初診時の左眼

初診時の左眼

初診時の右眼

初診時の右眼

初診時、右上の眼瞼は化膿しています。
尚、左右上下の眼瞼もかなり腫脹し、流涙、眼脂もかなり出ています。

内科治療6日目

内科治療6日目のものです。左右眼瞼の腫脹は見られますが、右上眼瞼の化膿は治癒しています。

内科治療25日目
内科治療25日目

内科治療25日目のものです。両眼の眼瞼の腫脹は完全に取れ、元の眼の状態に戻りました。
尚、処置(薬剤投与ではない)は継続していただいております。

この2例に共通することは、マイボーム腺機能不全が見られたことです。
マイボーム腺は涙成分の油を分泌する腺で、この腺が異常をきたすと今回のような、重度の眼瞼炎やドライアイになることがあります。
この2症例のように年齢に関係なく発症しますので注意が必要です。
尚、2症例ともマイボーム腺の手入れを自宅でしていただいています。(院長)

当院受診前は角膜ジストロフィーと診断されていた2症例

症例1

8歳のパピオン/体重6.4kg女の子
5ヶ月前より両眼が充血、角膜に穴が少しできてきたということで治療を受けていたそうです。
当時の診断は角膜ジストロフィーとのことで、治療法はないとのことでした。
両眼充血がひどくなり、角膜のクレーターが大きく、増えてきたので当院へ来院されました。

初診時の右眼

初診時の右眼

初診時の左眼

初診時の左眼

初診時、角膜検査の結果、一部角膜実質に到達している点状性角膜炎と診断しました。点眼と内服による治療を開始。

右眼

右眼

左眼

左眼

治療14日目。結膜の充血も消え、角膜のクレーターも少し修復されています。

右眼

右眼

左眼

左眼

治療21日目。両眼角膜のクレーターは消え瘢痕のみが見られます。この時点でフルオレセイン染色は陰性となりました。
患者さんの希望で、その後様子を見ていますが2ヶ月経過しても順調とのことです。

症例2

5歳のボーダーコリー/体重13.5kg女の子
右眼を2ヶ月前より角膜ジストロフィーと診断されて点眼していたが、
眼球結膜の充血がひどく、角膜中央ジストロフィー部位の広がりが大きくなったということで来院されました。

初診時
初診時。眼球結膜の充血、角膜中央部の白斑が見られます。尚、フルオレセイン染色はありませんでした。診断の結果、角膜上皮と角膜実質の間の膿瘍、角膜膿瘍と診断。点眼と内服薬による治療を開始しました。
治療7日目
治療7日目の画像です。結膜の充血は消え、白斑の大きさも一定で、円形になりました。
治療14日目
治療14日目です。白斑が薄くなってきました。
治療35日目
治療35日目です。白斑はさらに薄くなりました。尚、患者さんの希望でこの後治療せず様子を見ています。今のところ変化はないとのことです。

この2症例は角膜ジストロフィーと診断を受けていましたが、実際には治療のできる角膜障害で、ここまで回復しました。セカンドオピニオン、サードオピニオンの大切さを痛感した2症例です。

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