2025/08/08
愛猫が「片目だけしょぼしょぼしている」「白目が赤くなっている」「まぶしそうにしている」といった目の異常に、気づいたことはありませんか?これらの症状は、単なる目のトラブルと思われがちですが、実は体全体の異常を知らせる重要なサインであることも少なくありません。
中でも「ぶどう膜炎」は、猫の目の中で炎症が起きる病気のひとつであり、全身の病気が原因で発症するケースが多く見られます。
当院では眼科疾患に対し、30年以上の診療経験をもとに、目の診療にとどまらず全身状態やウイルス感染の有無までを考慮した、専門的かつ丁寧な診察を行っております。
そこで今回は猫のぶどう膜炎について、原因や症状、当院の治療方法などをご紹介します。
■目次
1.ぶどう膜炎とは?|猫に起こる「目の中の炎症」
2.目の病気だけじゃない?ぶどう膜炎の背後にある全身疾患
3.症状のチェックポイント|早めに気づくためのヒント
4.専門診療のメリット|30年以上の経験がある当院の眼科診療
5.検査と治療の進め方|費用の不安にも配慮しながら丁寧にご相談します
6.まとめ
ぶどう膜炎とは?|猫に起こる「目の中の炎症」
「ぶどう膜炎」とは、猫の目の中にあるぶどう膜という組織(虹彩:黒目の周囲の色がついた部分)や毛様体(ピントを調整する筋肉)、脈絡膜(目の奥で網膜に栄養を届ける組織)に炎症が起きる病気です。
ぶどう膜は、目の構造や機能を維持するうえで非常に重要な役割を担っています。そのため、ぶどう膜に炎症が起こると、視力の低下や白内障、緑内障、網膜剥離などの併発を招くおそれがあり、放置すれば最終的には失明につながることもあります。
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目の病気だけじゃない?ぶどう膜炎の背後にある全身疾患
猫のぶどう膜炎は、単なる「目の病気」ではないことが少なくありません。実際には、全身に関わる深刻な病気が、目の炎症という形で現れている場合があります。
代表的な原因として、以下のような全身性疾患が挙げられます。
<猫伝染性腹膜炎(FIP)>
猫コロナウイルスが変異して発症する重篤な疾患で、体内のさまざまな器官に炎症を引き起こします。目のぶどう膜も炎症を起こす部位のひとつです。進行が速く命に関わるため、早期発見と早期治療が大切です。
<猫エイズウイルス(FIV)>
免疫力が徐々に低下し、さまざまな感染症を引き起こします。目の炎症として現れる場合もあり、慢性的なぶどう膜炎の背景にこのウイルスが関わっていることがあります。
<猫白血病ウイルス(FeLV)>
免疫系や造血系(血液細胞:赤血球、白血球、血小板など)に影響を及ぼすウイルスで、がんや貧血を引き起こすことがあります。目の炎症もその一部として現れることがあります。
<リンパ腫などの腫瘍性疾患>
体のどこかに腫瘍ができ、それがぶどう膜炎の原因となることもあります。特に中高齢の猫では、全身状態の変化と合わせて注意が必要です。
このように、ぶどう膜炎という一見目だけの異常の裏側に、命に関わる疾患が隠れている可能性があるため、異変に気づいた際は早めの受診がとても重要です。
症状のチェックポイント|早めに気づくためのヒント
ぶどう膜炎は「静かに進行する」タイプの病気であるため、飼い主様が初期症状を見逃してしまうこともあります。以下のような症状が見られた場合は、注意が必要です。
・目を細める、またはまぶしがる
・涙の量が多い
・黒目(角膜)が白く濁って見える
・目やにが増える
・片目だけに症状が出ている
・左右で瞳の色が違うようになる
・家具や壁などにぶつかるようになった
特に、片目だけの症状は「まだ大丈夫」と思われがちですが、それが全身疾患の初期サインである可能性も考えられます。そのため、わずかな異変でも、「念のため診てもらおう」と受診していただくことが、重篤な病気の早期発見につながる場合もあるのです。
専門診療のメリット|30年以上の経験がある当院の眼科診療
当院では、眼科診療において30年以上の実績をもち、関東圏を中心に多くの患者様がご来院されています。ぶどう膜炎を単なる「目の炎症」としてではなく、全身状態やウイルス感染、腫瘍性疾患の可能性まで視野に入れて、総合的な診断を行っております。
また、他院で「原因不明」と言われた症例についても、セカンドオピニオンとして当院にご相談いただくケースが増えており、実際にウイルス疾患や腫瘍が見つかることも少なくありません。
当院では、眼科専門の知識と経験を活かし、診察や検査、治療にあたっておりますので、分からないことがありましたらお気軽にご相談ください。
検査と治療の進め方|費用の不安にも配慮しながら丁寧にご相談します
ぶどう膜炎の診断には、主に以下のような複数の検査が必要になります。
・血液検査(全身状態の評価や炎症反応の確認)
・ウイルス検査(FIP、FIV、FeLVなどの有無を調べる)
・眼底検査(眼内の炎症や出血の有無を調べる)
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特にウイルス性疾患の診断には、ウイルス検査が重要ですが、検査には費用がかかるため、ご希望されない飼い主様もいらっしゃいます。そのような場合でも、当院では飼い主様の意見やご予算を十分にお聞きしながら、無理のない検査・治療方針をご提案しています。
なお、ウイルス検査の結果だけでは確定診断が難しいこともあるため、症状の経過や反応を見ながら、補助的な診断を組み合わせて行うことが多くあります。
また、治療では原因に応じて以下のような薬を使用します。
・抗ウイルス薬
・免疫抑制剤
・抗炎症のための点眼薬や内服薬
すべての治療は、飼い主様と一緒に相談しながら、その子にとって最善な方法を選んでいきます。病気と向き合うための第一歩として、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
猫のぶどう膜炎は、見た目は軽度な症状でも、全身疾患の初期サインである可能性があります。特にFIPやFIV、FeLVといったウイルス感染症や腫瘍性疾患との関連が強いため、動物病院での適切な診断が欠かせません。
当院では、眼科専門医による診察と豊富な臨床経験をもとに、目の症状だけにとらわれず、全身の健康状態まで含めた包括的なアプローチで診療を行っております。飼い主様の不安やご事情に寄り添いながら、検査や治療を一緒に考えていきます。
少しでも愛猫の目の異変に気づいたときは、どうぞお気軽にご相談ください。大切なご家族の健康を守るために、私たちが全力でサポートいたします。
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