2024/06/11
愛犬の体の表面にコリコリとしたしこりを見つけたら、悪性のものでないかと不安になりますよね。
しこりには、良性で治療が必要ないものから、悪性の腫瘍（がん）のように早期に治療が必要なものまでさまざまです。しこりは見た目だけでは判断が難しいことが多いため、しこりを発見した場合は、早めに動物病院で診てもらうことを推奨します。
今回は体表腫瘤について、原因や症状、治療方法などをご紹介します。
■目次
1.犬の体表腫瘤とは
2.原因
3.症状
4.診断方法
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
犬の体表腫瘤とは
体表腫瘤とは名前の通り体表にできる腫瘤（しこり）のことです。
体表腫瘤は、場所や大きさによって治療が不要な場合や肥満細胞腫や乳腺腫瘍など早期に治療を行わなければ命に関わる場合もあります。そのため、早期の診断が非常に重要です。
原因
体表腫瘤の発生は、遺伝的要因や環境要因、ウイルス感染、特定の化学物質への接触など、さまざまな要因によって引き起こされます。
また、犬の体表にできる腫瘤には、以下のように良性腫瘍と悪性腫瘍があります。
＜良性腫瘍＞
・脂肪腫
・皮脂腺腫
・組織球腫
・乳頭腫 など
脂肪腫と皮脂腺腫は高齢の犬に多く見られ、組織球腫は若齢の犬に多く発生する傾向にあります。
＜悪性腫瘍＞
・リンパ腫
・肥満細胞腫
・軟部組織肉腫
・扁平上皮癌
・悪性黒色腫 など
これらの悪性腫瘍は、主に中高齢の犬に多く見られます。
また、乳腺腫瘍も体表（乳房の近く）に発生する腫瘤のひとつで、避妊手術を受けていない中高齢のメスによく見られます。犬の乳腺腫瘍の約半分は悪性であるため、特に注意が必要です。
これらの腫瘤以外にも、皮膚の炎症や膿疱、粉瘤などを引き起こしていることもあります。
症状
犬の体表に現れる腫瘤は、1つだけの場合もあれば、複数同時に発生することもあります。しこりの見た目は、赤く腫れたものや大きなほくろのようなもの、色までさまざまです。
また、腫瘤の位置によっては、犬の歩行に影響を与え、日常生活に支障をきたすこともあります。
診断方法
診断方法は、「針吸引細胞診（FNA）」が用いられます。これは、針を刺して細胞を吸引し、顕微鏡で観察する方法です。FNAは、腫瘤を手軽に調べることができるものの、それだけでは確定診断に至らない場合もあります。
より詳細な診断が必要な場合や悪性の可能性が高いと考えられる腫瘤に対しては、麻酔をかけて腫瘤を切除し、さらに詳しい組織検査を行います。
治療方法
腫瘤の外観や犬の状態、検査の結果によって、すぐに切除する必要がないと判断される場合もあります。その際は、しばらく経過を観察します。
＜良性腫瘍の場合＞
良性の腫瘍であっても、歩行などの日常生活に支障が出ることもあります。その場合は、手術によって切除することが検討されます。
＜悪性腫瘍の場合＞
麻酔をかけて腫瘍を切除します。このとき、術前に検査を行い転移がないかどうかも確認します。また、炎症などが原因で腫瘍が発生している場合は、それに対する治療を行います。
当院では、全身麻酔を希望されない場合や全身麻酔のリスクが高い場合、レーザー治療（光線温熱療法）を実施しております。局所麻酔を実施したのちにICGという色素を局所投与しレーザー照射することで、腫瘍細胞を凝固します。その他に光線温熱療法は、外科的に腫瘍摘出後再発を防ぐために行う場合や腫瘍を切除せずに腫瘍を休眠状態に追い込む場合に行います。
レーザー治療は、主に肛門周囲腺種や乳腺腫瘍、線維肉腫などに適しています。
※腫瘍の発生部位によってレーザー治療が適応外の場合もあります。
当院のレーザー治療（光線温熱療法）の詳細についてはこちらから
予防法やご家庭での注意点
体表腫瘤は、腫瘤の種類によって経過観察が適切な場合と、すぐに治療が必要な場合があります。
犬は体表が被毛に覆われているため、発見が遅れてしまうことも少なくありません。
そのため、日常的に犬の体に触れ、皮膚にしこりや異常がないかをチェックすることが重要です。小さなしこりでも、気になる場合は早めに動物病院を受診しましょう。
まとめ
体表腫瘤には、良性のものと悪性のものがあります。特に悪性腫瘍は転移する可能性があるため、早期発見と早期治療が非常に重要です。普段から愛犬の健康状態を確認することで、小さな異変にも早めに気付いてあげられるようにしましょう。
埼玉県川口市・さいたま市（浦和区）・越谷市を中心に診療を行う
森田動物医療センター
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