2023/02/24
猫のヘルペスウイルス感染症は、猫によくみられるウイルス性の疾患であり、すでに感染している猫から、安易に感染が広がってしまいます。
症状としては、目やにや鼻水、くしゃみ、発熱などがみられます。
一度、感染してしまうと完治させることは難しく何度も再発を繰り返すので、飼い主さんは感染させないことが大切です。
今回は、猫のヘルペスウイルス感染症の原因、診断、治療、予防についてお話ししていきます。
猫ヘルペスウイルス感染症の原因
猫ヘルペスウイルスは、感染した猫の鼻水や目やに、くしゃみなどに含まれるウイルスを体の中に取り込むことで容易に感染します。
そのため、感染猫と同じ環境にいることで感染が成立しやすいと言えます。
例えば、「新しい猫を迎え入れた」「野良猫と接触した」「多頭飼育している」というように、他の猫と接触する機会がある猫は注意が必要です。
また、人間の服や靴に付着したウイルスに接触することでも感染することがあります。
外出した後や他の猫に触った後なども、ウイルス感染の恐れがありますので、しっかり清潔にしてからご自宅の猫に触るようにしましょう。
猫ヘルペスウイルス感染症の症状・診断
猫ヘルペスウイルス感染症は、以下のように主に目と呼吸器、全身に症状が発生します。
・全身症状→発熱、食欲不振、沈鬱
・呼吸器症状→くしゃみ、鼻水、鼻づまり
・眼症状→目やに、涙が多い、結膜の充血、角膜の潰瘍
特に、免疫がまだあまり機能していない子猫では、症状が重症化することもあり、肺炎やウイルス血症により亡くなってしまうこともあるので注意が必要です。
猫ヘルペスウイルス感染症の確定診断では、結膜や鼻腔、口腔などの粘膜のぬぐい液を綿棒で採取し遺伝子検査を行います。
しかし、検査の結果が出るまでに時間がかかることもありますので、症状から総合的に判断して治療をスタートすることもあります。
猫ヘルペスウイルス感染症の治療
猫ヘルペスウイルス感染症の治療では、症状を悪化させないように免疫力を高めていくことと症状に合わせて対症療法を行うことが治療方針となります。
免疫力を落とさないようにするためにはしっかりとご飯を食べさせ、体を冷やさないようにしてあげることが大切です。
対症療法では、目の症状(結膜炎や角膜潰瘍など)がみられる場合には目薬を使用したり、食欲不振や脱水がみられる場合は点滴を行います。呼吸器症状(鼻水やくしゃみなど)がみられる場合はネブライザー療法を行うこともあります。
また、猫ヘルペスウイルス感染症の際には、細菌などの2次感染が症状を悪化させてしまうことがあるため、抗生物質などの治療も行います。
もし、治療を継続してもなかなか治らない場合には入院が必要になることもあります。
猫ヘルペスウイルス感染症は、治療により症状を抑えることができても、ウイルスが体内に潜伏してしまうので、完全に体内から排除し完治させることが難しい病気です。
季節の変わり目や体調不良で免疫が下がった時などに再発したり、感染を広げてしまったりする場合がありますので注意をしましょう。
同居猫がいる場合、再発したら隔離を行うようにしてあげてください。
飼い主さんが気を付けるべき点
混合ワクチン接種では、完全に感染を防止することはできませんが、症状を軽減したり、発症期間を短縮するために有効です。
そのため、飼い主さんは混合ワクチンをしっかりと定期的に接種してあげるようにしましょう。
また、猫ヘルペスウイルスの感染を予防するためには、感染猫との接触を避けることが大切です。
特に多頭飼育の環境や、新しい猫をおうちに迎え入れたタイミングで、家庭内で感染が蔓延するケースが多くみられます。
飼い主さんは、おうちの猫ちゃんが他の猫と接触するタイミングでは、しっかり病気の有無を確認してから接触させるようにしてあげてください。
さらに、猫ヘルペスウイルスに感染している場合でも、症状が再発してきたら早期に対処してあげることが大切です。
早めに対処することで重症化を防ぎ、軽症のまますぐに治癒する可能性が高まります。
愛猫の気になる症状やお困りごとがあれば、当院へご相談ください。
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