2026/03/06
トイレシートに赤くにじんだ尿や、便に混ざった血の色を見つけた瞬間、強い不安が押し寄せた飼い主様も多いのではないでしょうか。「今すぐ病院へ行くべき?」「少し様子を見ても大丈夫?」と迷ってしまうのは、自然なことです。
実際、冬から春にかけては寒暖差や生活リズムの変化が重なり、下痢や血便のご相談が増えやすい時期でもあります。また、血便の多くは、一時的な下痢や腸炎が関係している場合が少なくありません。
ただし、血尿や血便の背景に、腫瘍など見逃せない病気が隠れている場合もあるため、注意が必要です。
そこで今回は犬の血尿・血便について、原因やどんなときに受診を考えるとよいのかなどをご紹介します。

■目次
1.犬の血尿・血便とは?まず知っておきたい基本的な考え方
2.犬の”血尿”で考えられる主な原因
3.犬の”血便”で考えられる原因
4.様子を見てもよいケース・早めの受診を考えたいサイン
5.動物病院では何を調べる?受診時の流れ
6.まとめ
犬の血尿・血便とは?まず知っておきたい基本的な考え方
犬の血尿や血便は、それ自体が病名ではありません。体のどこかで出血が起きていたり、粘膜が傷ついていたりする可能性を知らせる「体からのサイン」です。
しかし、血の量や色だけで重症かどうかを判断するのは難しいです。鮮やかな赤色でも軽い炎症で落ち着く場合があり、反対に少量でも重大な病気が隠れているケースもあります。
見た目だけで判断するのは難しいからこそ、自己判断で様子を見続けるのではなく、早めに動物病院で検査を受けることが大切です。原因を確認することで、必要な治療の有無がはっきりし、安心にもつながります。
犬の「血尿」で考えられる主な原因
血尿の原因として、動物病院で特に多くみられるのは膀胱炎と膀胱結石です。どちらも比較的よく遭遇する一方で、放置すると悪化したり繰り返したりします。
<膀胱炎>
排尿の回数が増えたり、少量ずつ何度も排尿したりしやすい点が特徴です。排尿時に落ち着かない様子を見せる犬もいます。
▼犬と猫の膀胱炎と尿路結石症についてより詳しく知りたい方はこちら
<膀胱結石>
血尿を繰り返したり、排尿姿勢が長くなったりすることがあります。これは、結石が膀胱内を刺激し、粘膜を傷つけて出血につながるためです。
なお、結石が尿道につまると排尿自体ができなくなる場合があり、これは緊急対応が必要です。
<一時的な粘膜の炎症>
若い犬では、一時的な粘膜の炎症で血尿が表れることもあります。体調の変化やストレスが影響する場合もあり、必ずしも重い病気とは限りません。
<膀胱腫瘍>
年齢を重ねた犬では、膀胱腫瘍などの可能性も考慮します。初期は元気や食欲に大きな変化が出にくく、「血が少し混じっているだけ」に見えることもあります。
血尿が続いたり、良くなったと思っても再発したりする場合は、自己判断で済ませず検査で原因を特定することが大切です。
犬の「血便」で考えられる原因
冬から春にかけては寒暖差が大きく、生活リズムの変化も起こりやすい時期です。その影響で腸が敏感になり、下痢が増えやすくなります。最近も、軽い腸炎に伴う血便のご相談が多くみられます。
食事内容の変化やフードの切り替え、ストレスなどが重なると、腸の粘膜が荒れやすくなります。この場合、元気や食欲が保たれていれば一過性で落ち着くケースもあります。
ただし、血便の背景には、以下のように別の原因が隠れている場合もあります。ここを見落とさないことが重要です。
・消化管からの出血
・誤飲による腸の傷
・腫瘍性疾患(ポリープや腫瘍など)
また、黒っぽい便は胃や小腸など上部消化管からの出血が疑われます。赤い血とは意味合いが異なるため、早めの評価が必要です。
なお、元気そうに見えても、腸の中で異常が進んでいる場合があるため、血便が続くときは獣医師に相談しましょう。
様子を見てもよいケース・早めの受診を考えたいサイン
血尿や血便が表れると強い不安を感じますが、すべてが緊急事態というわけではありません。大切なのは、現在の全身状態と症状の経過をあわせて判断することです。
<比較的落ち着いて経過を見られる可能性>
・元気や食欲があり、血が少量で一過性
・その後、便や尿がすぐに正常に戻っている
上記に当てはまっても、同じ症状が繰り返す場合は原因が別にある可能性もあります。放置せず、受診を検討すると安心です。
<早めの受診を考えたいサイン>
・血尿や血便が続く、繰り返す
・元気消失
・食欲低下
・排尿や排便時の強い違和感
・高齢犬または持病がある場合
なお、排尿できない、何度も吐く、ぐったりして動けないなどが見られる場合は、緊急性が高いため、早めに動物病院へ連絡してください。
動物病院では何を調べる?受診時の流れ
診察では、飼い主様から伺う情報がとても大切です。いつから始まったのか、どのくらいの頻度か、尿や便の色の変化はどうか、元気や食欲は普段と比べてどうかなど、気づいた点が診断の手がかりになります。可能であれば、排泄物の写真を撮ったり、回数をメモしたりすると、状況が伝わりやすくなります。
検査の基本は尿検査や便検査です。必要に応じて血液検査を行ったり、超音波検査などの画像検査を追加したりして、体のどこで異常が起きているかを確認します。
▼犬や猫の血液検査、尿検査、糞便検査についてより詳しく知りたい方はこちら
こうした検査によって、膀胱炎や結石の可能性を整理したり、腸炎の程度を推測したりします。検査で原因が分かると、治療の方向性が明確になります。
なお、すべての検査を一度に行うわけではありません。症状の強さや年齢、体の負担を踏まえながら、段階的に優先順位をつけて進めます。
当院では、状態に応じて必要な検査を選び、丁寧に診察を進めています。血尿や血便が表れた場合も、焦りすぎずに状況を一緒に整理します。
まとめ
犬の血尿や血便は、動物病院では決して珍しい症状ではありません。実際には、一時的な炎症や軽い消化器トラブルに伴って表れることも多く、適切な治療やケアによって落ち着くケースも少なくありません。
一方で、「元気そうだから大丈夫」と自己判断だけで様子を見続けてしまうと、本来は早めの治療が望ましい病気の発見が遅れてしまう可能性もあります。症状が軽く見える場合でも、背景に別の疾患が隠れていることがあるため注意が必要です。
少しでも不安を感じたときは、ためらわずにご相談ください。当院では血尿・血便の原因を丁寧に見極め、犬の体の状態だけでなく、飼い主様のお気持ちにも配慮しながら診療を行っています。早めの確認が安心につながり、結果として大切な家族の健康を守ることにつながります。
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