2026/05/11
「最近、水をよく飲むようになった」「おしっこの回数が増えた気がする」といった変化に気づき、不安に感じている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。
一見すると元気そうに見えても、体の中では病気が進行している場合があります。特に犬の糖尿病は、初期の変化が日常の延長として見過ごされやすい病気です。
しかし、早い段階で気づき、適切な管理を始めることで、安定した生活を維持しやすくなります。
今回は、犬の糖尿病の症状や診断方法、インスリン治療の実際、さらに白内障との関係などを解説します。

■目次
1.犬の糖尿病とは?
2.見逃しやすい初期症状
3.診断方法|血液検査とフルクトサミンでわかること
4.治療方法|インスリンは「打てば終わり」ではありません
5.血糖コントロールの取り組み|リブレなどモニタリングの工夫
6.放置するとどうなる?白内障との関係
7.まとめ
犬の糖尿病とは?
犬の糖尿病は、血糖値を調整するインスリンが不足し、血液中の糖が増え続けてしまう病気です。
犬の場合、インスリンを分泌する働きが低下しているケースが多く、治療にはインスリン注射が不可欠となります。なお、猫とは病態が異なり、犬ではインスリンからの離脱は基本的に難しいとされています。
また、高血糖の状態が続くと、全身の臓器に負担がかかります。腎臓や神経、目などに影響が及ぶ可能性があり、放置するとさまざまな合併症につながります。
そのため、「完治を目指す」というよりも、「適切にコントロールしながら付き合っていく病気」と理解しておくことが大切です。
見逃しやすい初期症状
犬の糖尿病は、以下のような日常の中のささいな変化として表れることが多く、見逃されやすい点に注意が必要です。
・水をよく飲む、尿量が増える(多飲多尿)
・食欲があるのに体重が減る
・元気がない、疲れやすい
このような変化は、「年齢の影響かもしれない」「季節の変化によるもの」と思われがちです。しかし、体の異常のサインとして表れている可能性もあります。
▼犬や猫が多飲多尿についてより詳しく知りたい方はこちら
特に、トイレの回数や水の減り方は、飼い主様が気づきやすいポイントです。そのため、日頃から様子を見たり、ちょっとした変化を記録したりすることで、異常に気づきやすくなります。
早期に発見できれば、その後の血糖コントロールが安定しやすくなるため、「いつもと違う」と感じた時点で相談することが大切です。
診断方法|血液検査とフルクトサミンでわかること
犬の糖尿病は、血液検査と尿検査を組み合わせて評価します。
血液検査では血糖値を確認し、尿検査では尿中に糖が出ているかを調べます。ただし、血糖値はストレスなどで一時的に上昇する場合もあり、1回の検査だけでは判断が難しいことがあります。
▼犬や猫の血液検査についてより詳しく知りたい方はこちら
そこで活用されるのがフルクトサミン検査です。この検査では、直近3〜4週間の平均的な血糖状態を把握できます。一時的な数値ではなく、日常的なコントロールの状態を評価できる点が特徴です。
また、元気なときの数値を知っておくと、変化にも気づきやすくなります。症状だけに頼らず、複数の検査を組み合わせて判断することが重要です。
治療方法|インスリンは「打てば終わり」ではありません
犬の糖尿病の治療は、インスリン注射が基本となります。毎日決まった時間に投与し、血糖値の安定を目指します。
ただし、インスリンには複数の種類があり、作用時間や効き方が異なります。そのため、すべての犬に同じ方法が合うわけではありません。
中には「インスリンが効かないのでは」と感じるケースもあります。この場合、体質の違いに加え、食事内容や生活環境、他の病気が影響していることがあります。
その際は、インスリンの種類を変更したり、投与量を調整したりします。なお、これらの調整は必ず獣医師の判断のもとで行う必要があります。自己判断で変更すると、低血糖などのリスクにつながるため注意が必要です。
また、インスリン治療は一度決めて終わりではありません。状態に合わせて調整しながら、継続して通院することが前提となります。
血糖コントロールの取り組み|リブレなどモニタリングの工夫
糖尿病の管理では、血糖値の変動を把握することが重要です。
近年では、持続血糖測定器(リブレ)を動物に応用するケースも見られます。これはヒトの糖尿病管理でも使用されている機器で、体に装着すると約2週間にわたり血糖値を継続的に記録できます。
また、通院時だけでなく、日常生活の中での血糖変動を確認できるため、より細かな調整に役立ちます。
一方で、犬の場合は動きによって外れてしまうことがあり、外れたセンサーは再使用できません。この点には注意が必要です。
なお、こうした機器だけに頼るのではなく、定期的な血液検査やフルクトサミン検査を組み合わせながら管理していくことが、安定したコントロールにつながります。
放置するとどうなる?白内障との関係
糖尿病が進行すると、さまざまな合併症が起こります。
特に注意したいのが白内障です。犬の糖尿病では、比較的短期間で進行するケースも見られます。
「目が白く濁っている」「物にぶつかるようになった」といった変化が表れている場合、すでに視力に影響が出ている可能性があります。
こうしたリスクを防ぐためには、日頃から血糖値を安定させることが重要です。
当院では、動物眼科診療にも力を入れており、目の変化にも早期に対応できる体制を整えています。糖尿病の管理とあわせて、視力の維持にも配慮しています。
▼犬や猫の視力低下のサインについてより詳しく知りたい方はこちら
まとめ
犬の糖尿病は、早期に気づき、適切に管理することで安定した生活を目指せる病気です。
日常の中の小さな変化に気づいたり、違和感がある段階で相談したりすることが、早期発見につながります。
また、インスリン治療は継続的な調整と通院が前提となります。無理なく続けるためには、動物病院と連携しながら管理していく姿勢が重要です。
当院では、それぞれの犬の状態に合わせて、検査や治療方法をご提案しています。気になる症状が見られた場合は、お気軽にご相談ください。
■関連する記事はこちらから
⬇️🌟この情報が役に立った方は、星をタップして応援してください🌟⬇️
埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・越谷市を中心に診療を行う
森田動物医療センター
当院の診療案内はこちら
※お電話でもご予約・ご相談を承っております




