ワンちゃんが体をかゆがる【ホルモンが関わる場合】

  • HOME
  • ブログ
  • ワンちゃんが体をかゆがる【ホルモンが関わる場合】

 ワンちゃんが体をかゆがる理由として考えられる原因は、アトピー性皮膚炎・食事アレルギー・ノミなどの外部寄生虫・真菌症・内分泌疾患(ホルモンの病気)など沢山あります。今までアトピー性皮膚炎や食事アレルギーの治療がうまくいっていたにもかかわらず、急に痒みのコントロールがつかなくなることがあります。この場合、内分泌疾患などの他の病気を併発している可能性も考えなければなりません。今回は、皮膚にかかわるホルモンの病気についてお話します。

 

ワンちゃんが体をかゆがる【ホルモンが関わる場合】

 

■目次
1.ホルモンとは?
2.皮膚に関係するホルモンの病気は?
3.まとめ

 

ホルモンとは?

 

ホルモンとは、体の恒常性(体内の状態を一定に保つこと)を維持するために必要なものです。ホルモンは、さまざまな種類があり全身のいたるところで作られています。ホルモンの病気がおこる場合、ホルモンが過剰に分泌されるパターンとホルモンの分泌が足りないパターンがあります。

 

皮膚に関係するホルモンの病気は?

 

甲状腺機能低下症・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)・性ホルモン関連性皮膚症が挙げられます。それぞれどのような病気なのか説明していきます。

 

① 甲状腺機能低下症

甲状腺とは、全身の代謝をつかさどる甲状腺ホルモンを分泌する臓器です。多くの場合リンパ球性甲状腺炎や特発性甲状腺萎縮により甲状腺の細胞が減少することで甲状腺ホルモンの分泌が低下することで全身の代謝が落ちる病気です。

症状は、元気がない・体重の増加・低体温・脱毛や薄毛(尻尾の毛が薄くなるとラットテールと言われる症状です)・色素沈着・徐脈があります。その他にも運動不耐性・皮膚の肥厚(特に上眼瞼や口唇の肥厚)・被毛粗剛・膿皮症・角化異常・末梢神経障害・顔面神経麻痺がみられることもあります。

血液検査では、高コレステロール血症や高トリグリセリド血症が認められることがあります。
超音波検査で甲状腺の確認をすることもあります。
確定診断には、ホルモン測定を実施します。しかし甲状腺機能低下症の診断には、ホルモンの数値だけでなく症状の合致があるかが重要になります。甲状腺ホルモンは、甲状腺以外の疾患や投薬によっても低下することがあります。この現象は、euthyroid sick症候群(ESS)と呼び甲状腺機能低下症の誤診を招くことがあります。ESSの原因として、加齢・飢餓・長期のストレス・クッシング症候群・糖尿病・悪性腫瘍・腎不全・心不全・その他全身疾患・グルココルチコイド投与・フェノバルビタール投与・NSAIDs投与・サルファ剤投与があります。

治療は、甲状腺ホルモンの補充になり生涯にわたって投薬が必要になります。
症例によって必要な投薬量が異なるため定期的なホルモン測定にて薬の調節が必要になります。治療に反応すると皮膚症状は、数か月で改善します。

 

② 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

副腎皮質機能亢進症とは、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌されることで様々な症状がおきる状態です。原因により下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(PDH)・ACTH非依存性(機能性副腎腫瘍または過形成)・医原性(ステロイド投与によるもの)に分けられます。犬においてPDHが80%・副腎腫瘍が10~20%・PDHと副腎腫瘍の併発が5~10%と言われます。
PDHとは、副腎皮質にホルモンを分泌するように命令するホルモンを分泌する下垂体の腫瘍(多くは良性の腺腫)により起こります。

症状は、多飲多尿・多食・腹部膨満・内分泌性脱毛(左右対称性脱毛)・皮膚病変(細菌性毛包炎・石灰沈着・皮膚の菲薄化・面皰など)・肝腫大・高血圧・筋萎縮・腱断裂などがみられます。また副腎皮質機能亢進症から糖尿病・免疫低下による感染症・血栓症を引き起こすこともあります。

診断は、上記の特徴的な症状から副腎皮質機能亢進症を疑ってから血液検査と画像検査を実施する。血液検査では、ALP・ALT・コレステロール・トリグリセリドの上昇がよく見られます。Creが低値になることもある。レントゲン検査では、肝腫大や軟部組織の石灰沈着も見られることもあります。超音波検査では、副腎のサイズ確認が重要になります。これらの状態を確認できた後にホルモン検査(ACTH刺激試験、低用量デキサメタゾン試験)を実施し確定診断をしていきます。さらにPDHと副腎腫瘍を鑑別するために画像検査や高用量デキサメタゾン抑制試験を実施することもあります。

クッシング症候群の治療目標は、症状の改善や合併症の発生を抑えることです。
PDHでは、投薬によりホルモン分泌を抑える内科療法と下垂体を切除する手術や放射線治療があります。一般的に内科療法が選択されることが多いです。内科療法では、投薬に反応を確認するため定期的にホルモン測定が重症になります。薬によってコルチゾール分泌が過剰に抑制されると副腎皮質機能低下症(アジソン病)を発症することがあります。またお薬を使っている間は、アジソン病になっているかいち早く気付くために食欲や元気などの一般状態に注意する必要があります。お薬が効くと皮膚症状や腹部膨満は、数週から数か月で改善することが多いです。副腎腫瘍の場合第一選択は、外科的な摘出になります。しかし遠隔転移や状態次第で手術が実施できない場合、腫瘍の治療ではなく症状緩和のためPDHと同様に内科療法を実施することもあります。

 

③ 性ホルモン関連性皮膚症

性ホルモン関連性皮膚症は、不妊手術を実施していない中高齢犬にまれにみられる病気です。エストロジェン過剰症やアンドロジェン過剰症が原因になります。
エストロジェン過剰症は、雌犬の卵巣嚢腫やエストロジェン製剤を服用している犬にみられます。雄犬の場合、精巣腫瘍が原因となります。
エストロジェン過剰症では、会陰部や鼠径部・体幹の左右対称性脱毛がみられます。頭部と四肢を残して全身に脱毛が広がることもあります。エストジェンにより骨髄抑制がおこり貧血を起こすこともあります。雌犬においては、乳頭や乳房・外陰部の腫大を認めることもあります。また発情周期の異常や子宮内膜症や子宮蓄膿症が発生することもあります。
雄犬では、乳頭の腫大など雌犬化の症状を認めることがあります。精巣腫瘍の場合左右の精巣のサイズが異なります。

アンドロジェン過剰症は、精巣腫瘍に関連して発生が多いです。体幹の左右対称性脱毛・肛門周囲の尾腺過形成・重度の脂漏症を認めることがあります。

治療は、両側の精巣摘出および卵巣子宮摘出術が適応になります。エストロジェン製剤を使用している場合は、休薬が有効です。多くの場合4か月までに症状の改善を認めます。
アンドロジェン過剰症の場合皮脂腺の過形成や脱毛が続くことがあります。多くの場合予後良好ですが、エストジェンによる骨髄抑制や精巣腫瘍が悪性腫瘍で転移している場合は、予後不良のこともあります。

 

まとめ

 

かゆみという皮膚症状のなかにも原因は、多岐にわたります。
その中でもホルモンか関与する病気は、皮膚だけでなく全身にかかわる病気です。
もともと肌がかゆくなりやすく治療をしていて落ち着いていたにも関わらず、かゆみの強さやかゆがり方がいつもと違うときは動物病院に相談することも大切です。
またホルモン疾患の場合、生涯治療が必要になることや定期的なホルモン検査が大切になることもあります。

当院では、それぞれの状態に合わせて検査や治療方法をご提案しています。気になる症状が見られた場合は、お気軽にご相談ください。

 

 

⬇️🌟この情報が役に立った方は、星をタップして応援してください🌟⬇️

1つ星2つ星3つ星4つ星5つ星 (まだ評価がありません)

埼玉県川口市・さいたま市(浦和区)・草加市・越谷市を中心に診療を行う
森田動物医療センター
当院の診療案内はこちら


オンラインでの診療予約はこちらから

※お電話でもご予約・ご相談を承っております

TEL:048-281-3166

お問い合わせ

ご質問・ご相談などございましたら、お電話にてお受けしています。

TEL:048-281-3166

TEL:048-281-3166