猫の角膜黒色壊死症|黒目にあらわれる黒いシミの正体|埼玉県川口市-森田動物医療センター

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前回、猫に多い「猫ヘルペスウイルス感染症」についてご紹介しましたが、その中で少し触れた「角膜黒色壊死症(かくまくこくしょくえししょう)」について、今回は詳しくご説明します。

 

角膜黒色壊死症は、猫の黒目の表面(角膜)に、茶色〜黒色の斑点や病変ができる病気です。「角膜分離症」と呼ばれることもあります。猫では比較的よくみられる病気の一つで、人や犬ではほとんど報告がなく、猫に特徴的な病気とされています。

 

見た目のインパクトが強いため、飼い主さんはとても心配されることが多いのですが、正しく理解し、早めに対応することで視力への影響を最小限にとどめることができます。

 

猫の角膜黒色壊死症

 

■目次
1.なぜ角膜黒色壊死症になるの?|考えられる原因
2.どんな症状が現れるの?|黒目の変色や痛みのサイン
3.角膜黒色壊死症はどう治療するの?
4.黒目にシミを見つけたら?|ご家庭での注意点
5.まとめ|黒目の変化を見つけたら早めの受診を

 

なぜ角膜黒色壊死症になるの?|考えられる原因

角膜黒色壊死症のはっきりとした原因は、実はまだ完全には解明されていません。ただし、これまでの研究から、いくつかの要因が関わっていると考えられています。

 

<慢性的な角膜への刺激>

何らかの理由で角膜が慢性的に刺激され続けることが、発症のきっかけになると考えられています。特に、

 

・ペルシャやヒマラヤン、シャム、バーミーズといった短頭種(鼻ぺちゃの猫種)
・まぶたが内側に巻き込み(眼瞼内反)、まつ毛・被毛が眼球に触れる状態

 

では、角膜が慢性的に傷つきやすく、発症のリスクが高いことが知られています。

 

<猫ヘルペスウイルスの関与>

前回ご紹介した猫ヘルペスウイルス(FHV-1)も、この病気に関連していると考えられています。ウイルス感染による角膜の炎症や潰瘍を繰り返すことが、黒色壊死症の発症につながっている可能性が指摘されています。

 

▼猫のヘルペスウイルス感染症についてより詳しく知りたい方はこちら

<その他の要因>

涙の質や量の異常、過去の角膜への処置(傷の掻爬処置など)がきっかけとなることもあると報告されています。また、変色の正体についても、メラニン説や涙由来の色素説、鉄分説などさまざまな仮説が検討されていますが、現時点で明確な結論は出ていません。

 

どんな症状が現れるの?|黒目の変色や痛みのサイン

角膜黒色壊死症の見た目は非常に特徴的です。

 

・黒目に、茶色っぽいシミが現れる
・時間の経過とともに、茶色から黒色へと徐々に色が濃くなっていく
・病変の周囲がうっすらと充血したり、目やにが出たりする
・痛みのため、まばたきが多くなる、目を細める、涙が多くなるといった様子がみられる

 

多くは片目だけに発生しますが、特に短頭種では両目に起こることもあります。初期はまだ色の境界がぼんやりしていますが、進行するにつれて境目がはっきりしてきます。病変の大きさはさまざまで、小さなものから角膜の広範囲を占めるものまであります。進行すると角膜の表面に傷(潰瘍)ができることも多く、まれに角膜に穴があいてしまう(角膜穿孔)こともあるため、油断はできません。

 

以下が角膜黒色壊死症の写真です。

 

角膜黒色壊死症がみられる猫の目

 

角膜黒色壊死症はどう治療するの?|点眼治療と手術の違い

治療方針は、病変の深さや大きさ、猫の状態によって異なります。大きく分けて「内科的治療(お薬による治療)」と「外科的治療(手術)」の2つがあります。

 

<内科的治療>

病変が浅く、自然に剥がれ落ちる可能性がある場合には、

 

・細菌の二次感染を防ぐ抗菌点眼薬
・角膜表面を保護する潤滑成分の点眼薬(ヒアルロン酸など)
・猫ヘルペスウイルスの関与が疑われる場合は抗ウイルス薬

 

を組み合わせて経過をみることがあります。ただし、この方法での治癒には数ヶ月〜1年以上かかることもあり、根気強い治療が必要です。

 

<外科的治療>

病変が深い、痛みが強い、範囲が広い、あるいは内科的治療で改善がみられない場合には、手術で壊死した部分を切除する(角膜表層切除術)ことが推奨されます。切除後に角膜の傷を補強するため、結膜(白目の周りの薄い膜)や人工組織などを使った移植を併用することもあります。

 

いずれの治療法でも、短頭種で見られるようなまぶたや被毛が角膜に触れる原因がある場合は、その根本的な原因(眼瞼内反の矯正など)に対する治療も同時に行うことが、再発予防のうえで重要です。

 

黒目にシミを見つけたら?|ご家庭での注意点

・黒目に茶色や黒色の斑点のようなものが見えたら、様子を見ずに早めに受診しましょう。色が薄いうちの方が治療の選択肢も広がります。

 

・目をしょぼしょぼさせる、涙が多い、まぶたを気にして前足でこするといった様子がみられたら、痛みのサインかもしれません。

 

・ペルシャやヒマラヤンなど短頭種の猫を飼われている方は、この病気が比較的多い猫種であることを知っておいていただくと、早期発見につながります。

 

・一度治療をしても、反対の目に、あるいは同じ目に再発することがある病気です。定期的に目の様子をチェックしてあげましょう。

 

まとめ|黒目の変化を見つけたら早めの受診を

角膜黒色壊死症は、猫特有ともいえる角膜の病気で、短頭種を中心に慢性的な角膜への刺激や、猫ヘルペスウイルスの感染などが発症に関わっていると考えられています。見た目の変化が特徴的なため、飼い主さんご自身で異変に気づきやすい病気でもあります。

 

進行すると視力や角膜の状態に影響することもあるため、黒目に色の変化を見つけたら、早めに当院までご相談ください。

 

 

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